
退職する書類は、「退職願」と「退職届」、「辞表」があります。それぞれ意味があり、提出のタイミングや状況に応じて使い分けられます。
退職願は会社へ退職を打診する時の書類で、退職届は退職が認められた後に届け出る書類、辞表は経営者や公務員が職を辞する時に届け出る書類になります。
それぞれの書き方が異なります。
退職の法的な根拠
退職は労働者の意思に基づいて労働契約を一方的に解約することが民法に規定されて、会社は退職を拒むことができません。
民法は期間の定めのない雇用契約と期間の定めのある雇用契約を定めていて、雇用期間の定めがない場合の退職届の提出は2週間前までになっています。
退職のトラブル
退職を申し入れても会社が辞めさせないトラブルの場合、労働者は職業選択の自由が憲法で保障され理由の如何にかかわらず原則は自由に会社を辞められます。
雇用期間がある有期雇用でも雇用が1年を超えれば正社員と同様に辞めることができ、1年未満でもやむを得ない事情で原則は退職できます。
正社員が自由に辞められるのは2週間後だが、有給休暇が残っていれば申し入れた次の日から出社しないことも法律上できることになります。
退職届・退職願の書き方
退職届や退職願はA4かB5のサイズの用紙を使用して手書きの場合は白い便箋を使い、封筒は白無地のものを使用し、サイズは長形4号と長形3号を使います。
縦書きの場合は冒頭の行で表題の退職届や退職願の後に私議として、退職理由の本文、退職日付、提出者の所属と氏名、最後に宛名の所属と役職名・氏名を書きます。
横書きは縦書きと記載内容は同じで、届出年月日、宛名、所属と氏名を本文より前に書き、文末を以上で締めます。
退職届・退職願の本文
退職願の本文は、
「このたび一身上の都合により、〇〇〇〇年〇月〇〇日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。」というようなお願いの内容にします。
退職届は、「このたび一身上の都合により、〇〇〇〇年〇月〇〇日をもって退職いたします。」
という退職の事実を伝える内容にします。
退職届・退職願の提出のタイミング
民法では退職は退職する14日前までに意思表示をすることですが、退職届や退職願の提出は就業規則で定めている場合もあり、通常は1ヵ月前までの提出になっています。
退職届や退職願を提出するのは直属の上司ですが、退職届や退職願の宛名には社長名を記載するのが一般的です。
いきなり退職届を出すのではなく事前に上司に話をしておくことが大事であり、また退職届を出す前にできるだけ早く転職活動を始めておくことも必要です。
退職金の算出
退職金は退職後の生活を支える重要なお金になるので、退職金規程などでどれだけの退職金が支給されるのか調べておくことが重要です。
転職先が決まっていてすぐに新しい会社に移行して給与が支給されるのであれば安心ですが、転職先が決まらない場合は退職金で生活することになります。
失業保険の給付も会社都合の場合は翌月から支給されますが、自己都合の場合は3か月後からの支給になるので毎日の生活に使う場合も予想されます。
退職手続き
退職の手続きは退職願や退職届の提出、部品の返却や書類の受取などです。会社への返却は、健康保険被保険者証や身分証明書、名刺や通勤定期券、文具などです。
会社から受け取るのは、離職票や雇用保険被保険者証(会社が保管の場合)、年金手帳(会社が保管の場合)や源泉徴収票などです。
退職後の転職活動では、会社の退職で健康保険や厚生年金の被保険者資格を喪失するので保険や年金、税金などの公的な手続きが必要になります。
業務の引継ぎや退職挨拶
退職までの一般的な流れは、退職の2ヶ月前頃は退職の意向を上司に伝えて退職日の調整を行い日付の決定をします。
退職を円滑に行うには周囲への配慮が必要で、有給休暇消化などは会社の都合も考えます。
退職のチェックリストの作成
チェックリストは提出や返却を行う一覧や退職時の手続きの一覧、退職時に受け取るものの一覧などに分けてチェックします。
スムーズに退職するために、退職のスケジュールを立てて引継ぎの期間や有給休暇消化の期間も考慮し、会社の都合にも配慮した退職を行うことが必要です。
まとめ
転職先から前の会社に問い合わせがあることなども予想されるので、退職が円滑に行われることが必要になります。退職の申し出や退職届の提出は必ず上司に行うなど、上司以外から情報が伝わり余計なトラブルにならない注意も大切です。