
勤務先の職場でセクハラを受けた場合は、事業者は労働者の就業環境が害されることがないように必要な措置を取ることが男女雇用機会均等法で義務づけられています。
しかし勤務先以外の場所でセクハラを受けた場合は会社に対して適切な対応を求めることができるのかどうかの問題があって、職場の範囲が判断の基準になります。
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職場とは
職場とは労働者が業務を遂行する場所を指していて、労働者が通常就業している場所以外も業務を遂行する場所は職場に含まれことが厚生労働省の告示で示されています。
労働者が業務を遂行する場所であれば、取引先の事務所や取引先と打ち合わせをする飲食店や顧客の自宅なども職場に該当します。
労働者が業務を遂行する場所でセクハラ被害を受けた場合は職場で受けたことになり、会社はセクハラ被害に適切に対処する義務があります。
通勤途中のセクハラ
会社と自宅を往復する通勤経路の途中でセクハラを受けた場合は、セクハラの事実を会社に相談することで会社からセクハラ被害に関する適切な対処をしてもらうことができると解釈できます。
会社が主催する公の飲み会のセクハラ
飲み会で上司や同僚・部下などからセクハラを受けた場合、厚生労働省の告示では飲み会などの場所が具体的な例としてあげられていません。
しかし飲み会が会社の主催で上司から出席を命令される歓迎会や送別会や全員の出席が義務づけられる忘年会や新年会は公の飲み会で、トラブルについて会社が責任を持つべきとの考えも成り立ちます。
そのような飲み会で発生するセクハラは、会社に適切な対処を求めることができると考えられます。
会社から強制されない飲み会
会社から強制されない会社帰りの飲み会などは社員同士のコミュニケーションを深める意味はあるが会社の業務からは離脱していると思われるので、そのような場所でのセクハラ行為は会社に適切に対処することを求めることが難しいと考えられます。
しかし会社に適切な対処を求めるのは難しいことでも、セクハラ行為の責任を追及し肉体的な接触で警察に被害届を出すことや性的な言動の加害者に対し損害賠償の請求をすることは可能です。
セクハラに該当する言動の基準
セクハラは性的な言動の嫌がらせですが、相手の意に反しているかどうかがセクハラの基準で判断が難しい場合もあります。
セクハラの可能性がある言動は、女性を下の名前で呼ぶことやあだ名など、住処を聞くことや所定時間外に電話やメールを送ること、髪の毛を切ったことを言うことなど仕事以外のプライベートな言動が該当の可能性があります。
セクハラの分類
セクハラは対価型セクハラと環境型セクハラがあります。
対価型セクハラは職場や学校の立場や上下関係を利用して上位者が下位者に強要する言動で、性的な要求を受け入れれば高評価や昇進をさせるが受け入れなければ辞めさせることや異動をさせることを発言することです。
環境型セクハラは明確な不利益を伴わないが働く環境を悪化させます。抱きつくことや胸を触ること、お酌を強要することや結婚や出産のことを尋ねることなどです。
セクハラは人権問題
セクハラは法律用語ではなく、1989年に性的な嫌がらせを理由とした国内初の民事裁判をきっかけにセクシャルハラスメントという言葉が広がりました。
以前の恋人がいるかどうかの挨拶のような質問も現在は認められない言葉であり、相手の気持ちを尊重する傾向が強くなっています。
セクハラについての会社の責任
セクハラがあった場合は、労働者は安全配慮義務違反や職場環境配慮義務違反についての責任を会社に求めることができます。
セクハラについては、職場で性的な言動による不利益や就業環境の侵害がないように会社側が雇用管理上必要な措置を講じることを求めることができます。
職場でセクハラにあった時は加害者に損害賠償を求めるだけでなく、防止の必要措置を取ることやセクハラ防止を怠ったことで会社にも損害賠償が求められます。
最近のセクハラに関する問題
セクハラは以前から度々問題とされてきましたが、最近でも財務次官のセクハラ疑惑やマスコミ関係者が訴えられ裁判で敗訴した事件などが起こっています。
それだけセクハラは起こりやすい問題であり、民間に限らず官界などでも繰り返し話題にされてきた経緯があります。
会社の職場や職場以外の場所でもセクハラ問題が起こる可能性は高いので、会社も個人もセクハラを正確に理解して防止対策を行って十分な注意をすることが大切です。
まとめ
セクハラは多くのハラスメントの中でも代表的なもので、特に会社の職場で起こりやすい問題です。職場以外の正規の通勤途上や会社が主催する飲み会なども職場と同じと見なされ、会社の責任が求められる場合も考えられます。
セクハラは世界的に人権問題のひとつとされており、会社も個人も十分に対応することが求められます。